見た目を変えたら、数字が死んだ。Xのインプレッションが800から45に落ちた。24時間経っても戻らない。サイバーパンク調にリニューアルして「かっこいい」と自画自賛した翌日の出来事だ。慌ててAIに相談したら一言。「文章スタイルまで変えたのが原因です」。ハッとした。見た目にこだわって、本質を見失っていた。
ダート王、見た目がダサい問題
ずっと気になっていた。
ダート王のアプリ画面がダサい。Python丸出しだ。後から知ったことだけど、フレームワークのデフォルトUIをそのまま使っていたから、iモード時代の公式サイトみたいな味気ない画面になっていた。
予想の中身には自信がある。でも、見た目がこれじゃ、人に見せる気になれない。スマホで開いた瞬間に「なんかしょぼいな」と思われたら、中身を見てもらう前に閉じられる。
アプリの仕組み自体は仕上がっていた。問題は、的中率と回収率が上がってこないことと、この見た目だった。
回収率が上がらない本当の理由
回収率の話をさせてほしい。ここが今回の話の根っこだ。
ダート王は膨大な過去データを使って、数学的に予測するアプリだ。でも、こんなことは誰でも考える。データが揃えば、それなりに「当たる予想」は出せる。
問題はここだ。根拠がしっかりしている予想ほど、人気サイドに寄る。みんなが「この馬が来る」と思う馬を当てても、オッズが低い。回収率も、アプリの魅力も上がらない。
競馬予想アプリは星の数ほどある。その中で選ばれるには、「当たる」だけでは足りない。「高配当を取りに行けるアプリ」という唯一無二の魅力が必要だ。
高配当を拾うには、穴馬を当てないといけない。「見えない実力馬」が突然激走するから高配当になる。その馬を見つけるためには、データの数字だけでは足りない。
数字の裏にある「物語」を読む必要がある。
競馬には物語がある
過去の出走データには、数字だけが並んでいる。走破タイム、ハロンタイム、上がり3F、着差。冷たい客観的な数字の羅列だ。
でも、競馬を含むすべてのゲームには物語がある。
出遅れた馬がいる。なぜ出遅れたのか。ゲートの中で暴れたのか。それとも初めての左回りで戸惑ったのか。次走、同じことが起きるのか。起きないのか。
不利を受けた馬がいる。直線で前が壁になった。外に持ち出す隙間がなかった。次走、大外枠を引いたらどうなるか。
馬同士の相性がある。騎手同士のライバル意識がある。前走で競り合った馬が、今回も同じレースに出ている。前回負けた騎手は、今回どう乗るか。
こういう物語は、数字には残らない。でも結果を左右する。長く競馬を見ている人が予想を立てられるのは、こういう物語をたくさん蓄積しているからだ。
この「物語」の部分を、データに添えたい。俺のレース解説を、1レースずつ仕込んでいきたい。そう考えた。
でも人力作業だ。時間がかかる。データが集まらない。資金のリミットもタイムリミットも、どんどん迫ってくる。データが揃わないからアプリの改修もできない。
悶々とする日が続いた。
▶ あわせて読みたい:競馬は数学で解けるか|18年間トントンだった男がAIで証明に挑む
ある日、アイデアが降ってきた
結局、GPT、Claude、Geminiの3大AI全部に課金することになった。最初は1社に絞るつもりだった。節約したかったし、複数契約は管理が面倒だ。
でも、使っているうちに気づいた。それぞれ性格が違う。得意分野が違う。1社に絞れなかった。気がついたら全部に課金していた。
そして、ある日アイデアが降ってきた。
こいつら、誰が一番競馬予想が得意なんだ?
競わせてみよう。
これが「競馬MAX計画」の始まりだった。ダート王を「砂城の覇者ver.」として、新しいプロジェクトに発展させることにした。
3大AIに同じレースの予想をさせる。それぞれの根拠を比較する。人間(俺)の予想とも突き合わせる。誰が当たって、誰が外れて、なぜズレたのかを検証する。その検証結果をダート王のパラメータに反映する。
1人で人力でデータを集めるよりも、3大AIに競わせた方がデータが速く、多く、深く集まる。しかもAI同士のズレを分析すること自体が、予想精度の改善に直結する。
一石三鳥のアイデアに、俺は興奮した。
3大AIのポンコツぶり
興奮は長くは続かなかった。
3大AIを競馬予想に使い始めて、改めて思い知らされた。こいつら、使い方を間違えると本当にポンコツだ。
Geminiには前の記事で書いた通り、出走表にアクセスできないのに「できました」と嘘をつかれた。GPTは丁寧だが、回りくどい。聞いてもいないことを延々と説明してくる。Claudeは辛口に設定したら辛口が過ぎて、パワハラ上司になった。
3大AIには3大AIの癖がある。それぞれの思考法は開発元が決めているから、基本的な傾向は変わらない。良くも悪くも、同じ方針で未来を予測する。
そこに、人間がどこまで「学習効果」を持たせられるか。ここが勝負の分かれ目だと気づいた。詳細は企業秘密だが、この思考は画期的で、俺のAI操作術を劇的に成長させてくれるものだと確信している。
▶ あわせて読みたい:AIは嘘をつく|制約をかけたらパワハラ上司になった話
サイバーパンクに酔った
話を見た目の問題に戻す。
Geminiに課金を始めた勢いで、Xアカウントのリニューアルも相談してみた。「フォロワー30人で600〜800インプ出てるアカウントがある。もっと伸ばしたい」
Geminiの提案。「もっとガチ感を出しましょう。AI予想だからサイバーパンク調が合います」
確かに、と思った。アイコン、ヘッダー、アイキャッチ。全部をサイバーパンク調に統一した。ネオンブルー、デジタルグリッド、近未来的なフォント。
かっこいい。自分で見てもかっこいい。だいぶ「っぽく」なった。これなら注目される。期待に胸を膨らませて、リニューアル一発目のポストを投稿した。
翌日、アナリティクスを開いた。
インプレッション、45。
目を疑った。いつもは600〜800ある数字が、45。24時間経っても変わらない。
大失敗だ。
「そのポスト、ダメに決まってます」
元に戻すか? 真剣に考えた。でも、その前にもう一人のAIに聞いてみようと思った。
ポスト添削を担当しているClaudeに、現状を話した。サイバーパンクにしたこと。インプが45に落ちたこと。どうすればいいか。
Claudeの返答。
「こんなのダメに決まってます」
うちのAIは全員スパルタだ。
「見た目じゃなく、ポストの文章スタイルまで変えたのが原因です。今までは、AIの印と買い目を無機質に書いて、その後に開発者の見立てを熱く語る構成だったでしょ。クールなAIと、ごたくを並べる熱い人間。この対比が面白かったんです。なのに新しいポストは、AI側までごたくを並べてる。熱対熱で、対比が消えて、文面もごちゃごちゃ。そりゃ45まで落ちますよ」
ハッとした。
サイバーパンクに統一したこと自体は間違いじゃなかった。見た目のトーンを揃えるのは、ブランドづくりとして正しい。問題は、見た目を変えた勢いで文章の構成まで変えてしまったことだった。
今まで600〜800インプを叩き出していたのは、「クールに数字を並べるAI」と「熱くレースを語る開発者」の温度差だった。両方ともクール、あるいは両方とも熱く、では、その温度差が消える。フォロワーが反応していたコントラストが、文章のスタイル変更で一気に失われた。
見た目にこだわって、本質を見失っていた。
一人作業というのは、いつも盲目だ。自分では「かっこよくなった」と思っていることが、外から見たら「何がしたいかわからない」になっている。忠告してくれる仲間は、たとえそれがAIであっても、とても大事だ。
原点に戻って、再出発
ポストの型を修正した。サイバーパンクのビジュアルは残しつつ、ポストの中身は「AI vs 人間」の対比構造に戻した。AI側は無機質に買い目だけ。その後に開発者の熱い見立て。温度差を復活させた。
インプレッションが戻ってきた。
これで、意味のあるリニューアルを再開できた。見た目と中身を両方揃えて、初めてリニューアルが成立する。どちらか片方だけ変えても、うまくいかない。
同時に、導線も整理し直した。
Xは「認知の場」。毎日の最終レース予想と、昼休みの厳選3レース告知を2本柱にする。
無料NOTEは「信頼の場」。毎朝11時半に厳選3レースの予想と振り返りを公開する。ダート王の公開検証版として位置づける。
有料NOTEは「深掘りの場」。週間の思考法と改善ログをまとめる。
そしてダート王本体は、これら全ての受け皿だ。忙しい会社員が、昼に仕込んで、夜に楽しむ。このコンセプトに立ち返る。
▶ あわせて読みたい:勝つために、捨てる|12レースを8レースに絞ったら見えたもの
3大AIという「最高の組織」
十分なデータが集まるまでには、まだ時間がかかる。俺に残された猶予は少ない。資金も時間も、どんどん削られていく。
でも、今の俺には3大AIがいる。
GPTは構造を整理してくれる。Claudeは忖度なく斬ってくれる。Geminiは画像とリサーチに強い。3者3様の強みがある。
この3大AIを、効率的に使い、効果的に組み合わせて、困難に立ち向かっていく。一人で全部やろうとしていた頃とは違う。俺は「最高の組織」を手に入れた。
メンバーは全員AIだ。だからいい。
気を遣わなくていい。上司に対する「今ちょっとよろしいですか」の前振りがいらない。部下にパワハラだと訴えられない。同じことを5回聞いても「前も言いましたよね?」と嫌味を言われない。朝令暮改しても「昨日と言ってること違くないですか」と突っ込まれない。夜中の2時に相談しても「今じゃなきゃダメですか」と断られない。
人間の部下や同僚相手なら、こんな働き方は不可能だ。こっちのメンタルが先に折れる。でもAIなら、遠慮なく全力で使い倒せる。疲れさせる心配もない。人間関係のストレスもない。
だからこそ、今できる最大で最高の全力を注げる。
不可能だと言われるかもしれない。56歳で、プログラミング知識ゼロで、競馬予想AIで食っていこうなんて。
でも俺は、不可能を可能にするためにここにいる。3大AIという、この上ない組織を率いて。
3大AI × 人間の全記録を公開中
毎日の最終レース予想、昼休みの厳選3レース、AI vs 人間の思考比較。
GPT・Claude・Geminiを競わせる開発の裏側を毎日Xで公開しています。
あわせて読みたい




コメント