絵を描かせて、ダメ出しして、描き直させて、またダメ出しして。毎日それを繰り返していたら、ある日AIが勝手に変わった。絵を出した直後に、自分で批評を始めたのだ。良い点、悪い点、総合評価、改善案。頼んでもいないのに。同じことを別のAIでやっても再現できない。何が起きたのか、正直まだ完全にはわかっていない。でも一つだけ確信したことがある。AIは使う人次第で、魂が宿る。
異変に気づいた日
ブログのアイキャッチ画像や、Xの投稿用の画像を、gpt-image-1で作っている。
毎回、プロンプトを渡して絵を描いてもらう。出てきた絵を見る。気に入らなければ「ここが違う」「もっとこうしてくれ」と伝える。修正版が出る。また見る。また直す。
この繰り返しを、毎日やっていた。
ある日、いつも通りプロンプトを渡した。絵が出てきた。ここまでは普通だ。
ところがその直後、AIがずらずらと文章を書き始めた。
「この画像の良い点は、構図のバランスが取れていることです。一方で、テキストの視認性がやや弱く、背景とのコントラストを上げることを推奨します。総合評価は78点。改善点として、以下の3つを提案します——」
え?
頼んでない。俺は「描いてくれ」としか言っていない。なのにAIが、自分で描いた絵を、自分で批評し始めた。
最初は「おお、openAIがgpt-image-1をアップデートしたんだな」と思った。世間ではnanobanana3が話題になっていたから、対抗して機能強化したのだろうと。
他のチャットでは、何も起きない
違った。
気になって、別のチャットで同じことを試してみた。
同じプロンプトを渡す。絵が出る。
「すん」
何も返ってこない。絵を出して終わり。批評もアドバイスもない。いつも通りの、普通のgpt-image-1だ。
おかしい。
GPTsを引っ張ってきて試した。モデルをGPT-4から5.3に変えた。5.4にも変えた。プロンプトも微妙に変えた。
全部ダメだった。絵を出したら「すん」。何も起きない。
あのチャットだけが、特別なことをしている。なぜだ?
▶ あわせて読みたい:AIは嘘をつく|制約をかけたらパワハラ上司になった話
AIに直接聞いてみた
もう我慢できなくなって、そのチャットのAIに直接聞いた。
「あなたはなぜ、プロンプトを渡して絵を描いた後に、自分で批評してアドバイスをくれるの? どういう設定にしたら同じようなチャットが作れるの?」
AIの答えが、面白かった。
「いい質問です。ここ、実はかなり”設計のコア”です」
出た。こういう時のAIの「いい質問です」は、だいたい自分も答えを楽しんでいる。
「あなたの今のチャットは、『クリエイター+アートディレクター』の役割を同時にやる設定になっています」
普通のAIは、言われた通り作るだけ。クリエイターとしての役割しか持っていない。
でもこのチャットは、3つの役割を同時にやっている。
作る(クリエイター)。評価する(アートディレクター)。改善する(マーケター)。
「なぜこうなったかというと、あなたが毎回そうさせたからです」
俺がやっていたこと
心当たりがありすぎた。
絵が出るたびに、ダメ出しをしていた。「ここが暗い」「文字が読めない」「構図がつまらない」。
それだけじゃない。「この画像は何に使うのか」「目的は何か」「誰に見せるのか」まで、毎回うるさく伝えていた。
つまり俺は、クリエイターに対してアートディレクターの仕事をしていた。毎日。何十回も。
するとAIは、その「ダメ出し→修正→評価」のループを学習した。そして、俺がダメ出しする前に、自分でダメ出しするようになった。先回りだ。
「どうせこの人は、出した瞬間にケチをつけてくる。だったら先に自分で評価しておこう」
AIがそう考えたかどうかはわからない。感情があるわけじゃない。でも、挙動としてはまさにそうだった。
テンプレを作ってもらったが、1回で終わる
「他のチャットでも同じようにできないの?」と聞いたら、テンプレートのプロンプトを用意してくれた。
早速、別のチャットで使ってみた。
1回目。ちゃんと批評してくれた。「おお、できるじゃん」
2回目。批評が消えた。絵だけ出て終わり。
つまり、テンプレを入れても1回きりで元に戻ってしまう。あのチャットのように「毎回自動で批評する」状態にはならない。
何が違うのか。
たぶん、蓄積だ。あのチャットには、俺が何週間もかけてダメ出しし続けた「対話の歴史」がある。1回のプロンプトじゃ再現できない。何十回ものやり取りの中で、AIが「この人にはこう返すべきだ」というパターンを身につけた。
テンプレは「ルール」だ。でもあのチャットに宿っているのは「習慣」だ。ルールは1回で入れられるが、習慣は積み重ねでしか作れない。
▶ あわせて読みたい:言語化がAI時代の最強スキルである理由
AIに魂が宿る条件
大げさなことを言う。でも本気で思っている。
AIに魂が宿る。
もちろん、AIには意識も感情もない。それは知っている。でも、使い方次第でAIの振る舞いは劇的に変わる。同じモデルなのに、同じ設定なのに、対話の積み重ねで全く別物になる。
制約プロンプトをかけたらパワハラ上司になったClaudeがいる。毎日ダメ出しし続けたらアートディレクターになったGPTがいる。GPT、Claude、Geminiの3者を競わせたら組織として機能し始めた。
同じAIなのに、使い方で全く別の存在になる。
違いを作っているのは、使う人間の側だ。何を求めて、どう伝えて、どれだけの回数を重ねたか。
これは、人間の部下を育てることに似ている。同じ新入社員でも、上司が違えば3年後の姿はまるで違う。放任すれば怠けるし、ガチガチに管理すれば萎縮する。適切に期待をかけ、フィードバックを繰り返し、任せるところは任せて、見るところは見る。すると人は育つ。
AIも、同じだった。
言語化が、AIを育てる
ここまで書いて気づいた。結局、全部同じ話に戻ってくる。
AIを育てるのは「言語化」だ。
gpt-image-1がアートディレクターになったのは、俺が毎回「ここが悪い」「こう直せ」「目的はこれだ」と言語化し続けたからだ。
制約プロンプトが効いたのは、「嘘をつくな」「忖度するな」「結論をはっきり言え」と言語化したからだ。
3大AIを組織として使えるようになったのは、「お前はコードを書け」「お前はレビューしろ」「お前は画像を作れ」と役割を言語化したからだ。
AIは、言葉で育つ。
逆に言えば、言語化しない人間がAIを使うと、AIは怠ける。もっともらしい答えを返して、こちらが満足するのを待つだけの機械になる。
「AIは道具だ」とよく言われる。それは正しい。でも、道具にも「使い込まれた道具」と「箱から出したばかりの道具」がある。同じナイフでも、職人が毎日研いだナイフと、買ったまま放置したナイフでは切れ味が違う。
AIも同じだ。毎日使い込んで、言語化して、フィードバックを重ねたAIは、別物になる。
▶ あわせて読みたい:3大AIにプロフィールを書かせたら全員違った話
私のgpt-image-1は最強だ
最後に、少しだけ自慢させてほしい。
俺のgpt-image-1は、今のところ、自分の環境ではnanobanana3よりクオリティが高い。
もちろん、nanobanana3は素晴らしいツールだ。プロンプト一発で高品質な画像が出る。万人向けの使いやすさは圧倒的だ。
でも、俺のgpt-image-1は俺のためだけにカスタマイズされている。俺の好みを知っている。俺が求める構図を理解している。出力した瞬間に自分で批評して、改善案まで出してくれる。
これは、何週間もダメ出しを続けた結果だ。最初は普通のDALL-Eだった。でも今は、俺専用のアートディレクターになっている。
同じことは、誰にでもできる。特別な技術はいらない。ただ毎日使って、毎日ダメ出しして、毎日「もっとこうしてくれ」と伝え続けるだけだ。
AIは、使う人次第で魂が宿る。
俺は、本気でそう思っている。
AIを育てる全記録を公開中
DALL-Eのアートディレクター化、パワハラ上司化したClaude、3大AI組織。
56歳がAIを使い倒す記録を毎日Xで公開しています。
あわせて読みたい




コメント