有料NOTE売上ゼロ|56歳が初めて自分の思考に値札をつけた日

50代からのAIプログラミング

人生で初めて、自分の思考に値札をつけた。競馬予想の思考法を有料NOTEにまとめて、480円で販売した。2週間。2本出稿。売上、ゼロ。1冊も売れなかった。「売る」という行為が、こんなに怖くて、こんなに難しいとは思わなかった。

値札をつける手が、止まった

NOTEの管理画面で、価格設定の欄にカーソルを合わせた。

480。

たった3桁の数字を打ち込むのに、何分かかっただろう。指が止まった。

「これ、480円の価値があるのか?」

自分の頭の中にある競馬予想の思考法。展開の読み方。AIとの対話で磨いた分析手法。前日のレースの振り返りと、そこから抽出した改善点。

毎日やっていることだ。自分にとっては日常の思考の記録でしかない。それに480円の値札をつけることが、途方もなく恐ろしかった。

「誰が買うんだ、こんなもの」

その声が頭の中で鳴り響いた。でも、指は動かした。480と打って、公開ボタンを押した。

押した瞬間、心臓がドクンと跳ねた。

2週間、通知は来なかった

有料NOTE1本目を公開した。

1日目。売上ゼロ。まあ、初日だし。

3日目。ゼロ。まだ見つけてもらえてないだけだ。

1週間。ゼロ。そろそろ現実が染みてくる。

2本目を出した。内容はさらに充実させた。1週間分の予想思考と振り返りの全記録。AIとの問答ログ。的中レースの分析と、外したレースの原因特定。

また1週間。ゼロ。

NOTEの通知欄を開くたびに、何も表示されない画面を見つめた。「購入されました」の通知が来ることを想像していた。それが来ない日が、14日間続いた。

なぜ売れないか、わかっている

冷静に分析すれば、理由は明白だ。

NOTEのフォロワーが3人。Xのフォロワーが32人。この母数では、どう頑張っても購入には至らない。

ただ、興味深いデータがある。どちらの有料NOTEも、30回クリックされている。

30回。つまり30人がページを開いて、中身を確認しようとした。でも、購入には至らなかった。

興味はある。でも買わない。このギャップの原因は何か。

いくつかのフィルターがかかっている。そもそもNOTEの存在を知っている人が少ない。知っている人のうち、競馬予想の思考法に興味がある人がさらに少ない。興味がある人のうち、お金を払ってもいいと思える信頼がまだ足りない。

30回クリックして0購入。最後のフィルター、「この人から買いたい」という信頼が、まだ積み上がっていないのだと思う。

わかっている。頭では、完璧にわかっている。

でも「わかっている」ことと「傷つかない」ことは、まるで別の話だ。

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「売らない」と言ったのに、売ろうとしている矛盾

ふと気づいた。

先週、「ダート王は売らない。自分の金で証明する」と記事に書いた。アプリの予想を他人に売る覚悟がないから、自己運用を選んだと。

なのに、NOTEでは「思考法」を売ろうとしている。

矛盾じゃないか?

しばらく考えた。そして、自分なりの答えが出た。

ダート王の予想を売ることは、「この馬券を買え」と他人に言うことだ。外れたら、他人のお金が消える。

NOTEで売っているのは、予想そのものじゃない。「どう考えたか」というプロセスだ。思考の過程と、その振り返り。読んだ人は、そこから自分なりの予想を組み立てる。

魚を売っているんじゃない。釣り方を共有しているんだ。

この区別は、自分の中では筋が通った。でも、買う側にそれが伝わっているかは、また別の問題だ。

50代が「値札をつける」ことの壁

これは競馬の話じゃなくなるけど、書かせてほしい。

50代で会社を辞めて、フリーランスになって、初めて気づいたことがある。

会社員時代、自分のスキルに値段をつけたことは一度もなかった。

給料は会社が決めてくれた。評価は上司がしてくれた。自分の市場価値がいくらなのか、本気で考えたことがなかった。30年間ずっと。

フリーランスになった瞬間、すべてが逆転する。自分の知識に、自分の時間に、自分の経験に、自分で値段をつけなければならない。

これが、想像以上に怖い。

480円。2本目は300円に下げた。たったそれだけの値札をつけるのに、あれだけ悩んだ。「こんなもの誰が買うんだ」と自分を否定する声が聞こえた。30年間、自分に値段をつけてこなかったツケだ。

50代で独立した人、心当たりはないだろうか。

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それでも、出してよかった

売上ゼロ。これは事実だ。

でも、出してよかったと思っている。

理由は3つある。

1つ目。毎日の無料NOTEが、予想の精度を上げている。毎朝11時半に3レース分の予想と前日の振り返りを公開している。「人に読まれる」と思うと、いい加減なことが書けない。分析が自然と丁寧になる。公開すること自体が、自分の思考を鍛えるトレーニングになっていた。

2つ目。有料NOTEを書くプロセスで、1週間の思考が整理される。毎週日曜に1週間分をまとめる作業は、バラバラだった思考を構造化する強制力になる。書いているうちに「あ、この判断は根拠が弱かったな」と気づくことがある。売れなくても、書くこと自体に価値がある。

3つ目。これが一番大きい。「売る」という行為を経験した。値札をつけて、公開して、ゼロという結果を受け止めた。この経験は、2本目を出す時に少しだけ楽にしてくれた。3本目はもっと楽になるだろう。10本目には、500円の値札に手が震えなくなっているはずだ。

筋トレと同じだ。最初は10kgが持てない。でも繰り返せば持てるようになる。「売る」も筋肉だ。使わなければ衰えるし、使い続ければ強くなる。

無料と有料の境界線

もう一つ、考えたことがある。

毎日のNOTEでは無料で予想と振り返りを公開している。週末の有料NOTEでは思考法と分析の全記録をまとめている。

この「無料」と「有料」の境界線を、読者はどう感じているだろうか。

正直、まだ正解がわからない。無料部分だけで十分満足してしまう人もいるだろう。有料の中身を見ないと判断できない人もいるだろう。

今わかっているのは、無料NOTEの読者を増やすことが先だということだ。無料を読んで「もっと知りたい」と思ってくれた人が、初めて有料に手を伸ばす。フォロワー32人の段階では、そもそも無料NOTEの読者が少なすぎる。

焦って有料を売ろうとするんじゃなく、まず無料の価値を上げる。そこに集中する。

生の解析データボックス:34レース分

一方で、地道に積み上げているものもある。

毎日3レース、AIと一緒に真剣に予想して、レース後にリプレイ映像を分析してレポートにまとめる。「生の解析データボックス」と名づけた蓄積作業が、34レースに達した。

目標は100レース。4月3週目の到達を目指している。

34レース分を振り返るだけでも、すでに見えてきたものがある。展開表やタイムだけでは拾えないコース特性。「この会場のこのコースでは、先行馬が残りやすい」「この距離では外枠の差し馬が有利」。数字の裏にある「なぜ」が、レースの映像を見ることで少しずつ言語化できるようになってきた。

この蓄積が有料NOTEの内容にも直結する。100レース分のデータが揃った時、NOTEの中身は今とは比較にならないほど濃くなっているはずだ。

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売上ゼロは、始まりだ

2本出して、ゼロ。

この数字だけ見れば、失敗だ。

でも、2本出す前はマイナスですらなかった。ゼロですらなかった。「売る」という土俵に立っていなかった。

ゼロは、スタートラインだ。マイナスから這い上がって、ようやくゼロに立った。ここから1が生まれるかどうかは、続けた人間にしかわからない。

56歳。人生で初めて、自分の思考に値札をつけた。怖かった。売れなかった。でも、もう手は震えない。

3本目を、書く。

毎日の予想思考を無料で公開中

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