また手を広げそうになった|不安から動くと全部中途半端になる話

50代からのAIプログラミング

深夜2時。天井を見ている。「このまま競馬AIだけで大丈夫なのか?」。その問いが、頭の中でぐるぐる回っている。気がつくと、前の会社の社長に売り込めるアプリを作り始めていた。講師業の構想まで練っていた。我ながら呆れた。90日集中と宣言したのは、たった1ヶ月前の自分だ。

昼間は平気な顔をしている

脱サラして8ヶ月。貯金の残高は、毎月確実に減っている。

昼間は平気だ。ダート王の開発を進めて、Xに予想を投稿して、ブログを書く。手を動かしている間は、何も考えなくていい。

問題は、夜だ。

パソコンを閉じる。歯を磨く。布団に入る。目を閉じる。

すると、昼間は押し込めていた声が、腹の底からじわじわと這い上がってくる。

「本当にこれでいいのか?」

「もっと確実に稼げることがあるんじゃないか?」

「せっかくアプリが作れるのに、競馬にだけ使うのは馬鹿じゃないか?」

この声は、正論だ。正論だから、耳を塞げない。

気がついたら、手が動いていた

ある朝、パソコンの前に座って、気づいた。

ダート王とは別のアプリを作っている。

社員のPC作業状況を分析するツール。集中できる時間帯を測定する。不審なデータ持ち出しや危険なWi-Fi接続を検知する。セキュリティ監視まで発展させた。

手が速いのは長所だ。思いついたら形にできる。でも今回、それが仇になった。

形にできてしまったから、次のステップが見えてしまう。「これを前の会社の社長に見せたら、話を聞いてくれるんじゃないか」。そこからの妄想が止まらなくなった。

まずアプリを無料で使ってもらう。実績を作る。次にバイブコーディングの講座を開かせてもらう。社長の人脈に乗る。

完璧な計画に思えた。胸が躍った。久しぶりに「これで食えるかもしれない」という感覚があった。

でも。

パートナーの目を見て、わかった

夕食の時、この構想を話してみた。

パートナーは箸を止めた。少し間があった。そして、静かに言った。

「……また、ああいうのやるの?」

ああいうの。飲みの席。業界の会合。帰りが遅い夜。名刺交換の嵐。人脈作りの社交。

会社員時代に何百夜と繰り返してきたことを、パートナーは隣で見てきた。そしてそれが嫌だったことを、俺は知っている。

そして俺自身も、気づいていた。

社長に頼んだら、飲みの席に出ないといけない。会合に顔を出さないといけない。それは、嫌だ。作業時間が消える。パートナーの顔が曇る。

「嫌だ」と感じている。それなのに「やるべきだ」と思っている。

このズレに、何日も気づけなかった。

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夢が、正直だった

この構想を考えていた日の夜、妙にリアルな夢を見た。

前の会社の車を運転している。たまに通る路地を抜けようとしたら、通行止め。細い抜け道を見つけて突っ込んだら、壁にぶつけた。

軽くぶつけただけだ。致命傷じゃない。でも、ぶつけた。

目が覚めて、なんとなく気になって、AIに夢診断を頼んでみた。

返ってきた言葉に、息が詰まった。

「あなたは古いルートを使って進もうとしている。でも、あなたの無意識はそれに違和感を持っている」

前の会社に売り込む。社長の人脈に乗る。これは「新しい挑戦」のように見えて、実は「古いやり方」だ。会社員時代の延長線上にある道。パートナーが嫌がり、自分も乗り気じゃない道。

不安が、判断を歪めていた。

このパターン、何度目だ?

冷静になって、振り返る。

これは初めてじゃなかった。独立してから、何度も同じことをやっている。

不安になる。「もっと確実な方法があるんじゃないか」と思う。新しいことに手を出す。リソースが分散する。全部中途半端になる。さらに不安になる。

この無限ループだ。

ブログ、アフィリエイト、FX自動売買、競馬予想AI。気づけば4つも5つも同時に走らせていた時期がある。

だから90日集中を宣言したんだった。「手を広げるな。1つに絞れ」。背水の陣を敷くためにKPIを公開して、退路を断ったんだった。

なのに。1ヶ月で、また同じことをやりかけている。

思わず笑った。笑うしかなかった。

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不安から動くな。意思で動け。

ここが、今回の一番大きな気づきだった。

競馬予想AIに集中すると決めたのは、意思だ。データを見て、Xでの手応えを感じて、「ここに勝機がある」と判断して決めた。頭と心が揃っていた。

前の会社に売り込もうとしたのは、不安だ。貯金が減っていく恐怖。「何か手を打たなければ」という焦り。頭は「やるべきだ」と言っていたが、心は「嫌だ」と言っていた。

同じ「行動」に見えて、出発点がまるで違う。

意思から動いた行動は、壁にぶつかっても「やり方を変えよう」と思える。不安から動いた行動は、壁にぶつかると「やっぱりダメだ」と投げ出す。

56年生きてきて、このパターンに初めてはっきりと気づいた。遅い。遅すぎる。でも、気づけただけマシだと思うことにする。

引き出しにしまう

作った作業ログ分析アプリは、完成している。動くものがある。

捨てるんじゃない。引き出しにしまう。

90日計画が終わった時に、また引き出しを開ければいい。その時にダート王の方向性が見えていたら、引き出しは閉めたまま走り続ける。見えていなかったら、このアプリを出して別の道を考える。

今やることは、1ヶ月前に自分で決めたことを、最後までやり切ること。それだけだ。

前の会社の社長への売り込みは、凍結。講師業の構想も、凍結。引き出しの中で、静かに寝かせておく。

不安は消えない。でも。

貯金が減っている不安は、消えない。事実だから。

でも、不安を理由に行動を変えるのは、もうやめる。

不安は消せない。飼い慣らすしかない。「ああ、また来たな」と気づいて、認めて、それでも手を動かし続ける。

不安を感じながら走る。格好悪い。でも、不安から逃げて手を広げて全部中途半端になるよりは、ずっとマシだ。

夢の中で、俺は壁に車をぶつけた。でも大事故にはならなかった。AIの夢診断はこう言った。「今の試行錯誤は正常範囲です」。

少し、救われた。

手を広げかけて、自分で気づいて、引き戻した。これが正常範囲なら、俺はまだ走れる。

90日計画、残り約9週間。

引き出しを閉める。ダート王に、戻る。

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競馬予想AI「ダート王」の開発と運用。
手を広げそうになりながら踏みとどまる過程も全部、毎日Xで公開しています。

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